
第19号(2008年4月)
記事:JBoss Enterprise Middleware と JBoss.org の違い
〜 サブスクリプションのメリット 〜
今回のレッドハットニュースレターのJBoss紹介では、改めてレッドハットから提供されるJBoss Enterprise Middleware と コミュニティから提供されるJBossプロジェクトの違いを説明します。
● JBoss Enterprise Middleware と JBoss.org の違い
JBoss Enterprise Middleware は、レッドハットが提供され、かつ、レッドハットから製品サポートが提供される企業向けミドルウェアです。それは、JBoss.org から提供される様々なコンポーネントからレッドハットによって品質や安定性が高いものを選択し、かつ、それらのコンポーネントを統合し、相互依存性がないことを十分な試験のもとで確認したものをJBoss Enterprise Middleware として製品出荷されています。
図1
レッドハットでは、2007年4月に従来のJBoss Inc. が提供してきた製品ラインをJBoss
Enterprise Middleware に切り替えてきており、1年経った現在では、レッドハット版JBoss とコミュニティ版のJBoss に大きな違いができています。例えば、JBoss.org から提供されているJBoss Application Server は、以下のバージョンが表記のリリーススケジュールで提供されてきました。
- JBoss Application Server 4.2.0 GA 2007-05-11
- JBoss Application Server 4.2.1 GA 2007-07-16
- JBoss Application Server 4.2.2 GA 2007-10-22
- JBoss Application Server 5.0.0 Beta3 2007-12-21
- JBoss Application Server 5.0.0 Beta4 2008-02-10
JBoss Enterprise Application Platform は、上記のスケジュールとは異なるスケジュールで提供されています。
- JBoss Enterprise Application Platform 4.2 GA 2007/07/03
- JBoss Enterprise Application Platform 4.2_CP01 2007/09/24
- JBoss Enterprise Application Platform 4.2_CP02 2008/02/12
- JBoss Enterprise Application Platform 4.2_CP03 2008/05/??
- :
- JBoss Enterprise Application Platform 4.2_CPXX 20XX/XX/XX
※ JBoss EAP 4.2 がサポートされる期間提供され続ける
- JBoss Enterprise Application Platform 4.3 GA 2008/01/17
- JBoss Enterprise Application Platform 4.3_CP01 2008/05/??
- :
- JBoss Enterprise Application Platform 4.3_CPXX 20XX/XX/XX
※ JBoss EAP 4.3 がサポートされる期間提供され続ける
この傾向は、レッドハットが今後注力していくSOA製品では、顕著にリリーススケジュールの差がでてきています。コミュニティ版である JBoss ESB のリリースは、以下のとおり。
- JBoss ESB 4.2.1 GA 2007/11/01
レッドハットからはJBoss Enterprise SOA Platform という製品としてJBoss jBPMとJBoss Rules のコンポーネントが統合されて、以下のようにリリースされています。
- JBoss Enterprise SOA Platform 4.2 GA 2008/02/20
- JBoss Enterprise SOA Platform 4.2_CP01 2008/06/XX
- :
- JBoss Enterprise SOA Platform 4.2_CPXX 2008/XX/XX
※ JBoss ESP 4.2 がサポートされる期間提供され続ける
レッドハットから提供される各製品のGAバージョンに対して、バグフィックスの集積パッチがCPXX(Cumulative Patches)は、基本的には、4半期毎にリリースされます。このCPXXのパッチセットは、当然ながらコミュニティからはバイナリダウンロードできません。レッドハットでは、各製品がサポートされる期間、このCumulative Patches を各GAバージョンに対してリリースしていきます。
JBossは、オープンソース製品であるためコミュニティから自由に取得できますが、企業システムに適用することを考えた場合、定期的なバグフィックスが提供され、安定性の高いJBoss Enterprise Middleware を採用することには価値があるでしょう。コミュニティ版のリリース状況と Enterprise 版のリリース状況を見比べた場合、企業システムでコミュニティ版を採用することのリスクがわかります。
● JBoss カスタマーサポート・ポータル
JBoss Enterprise Middleware のサブスクリプションでは、上述のようにコミュニティからは入手できない安定性の高い製品や集積パッチを入手できるだけでなく、製品に関する技術的な質問、製品の機能に関する質問、製品の周辺で万が一トラブルが発生した場合の問題解決のための調査支援、ワークアラウンドの提示などが、日本語カスタマーサポートポータルから利用できます。また、ワークアラウンドがない場合には、個別のパッチが提供される場合もあります。
図2
● JBoss サブスクリプションのメリット
今回のレッドハット・ニュースレターでは、JBoss Enterprise Middleware のサブスクリプションのメリットを解説しました。
現在、コミュニティのJBoss.org では、JBoss AS 5など最新技術の実装が進められています。これらの実装には、レッドハットの社員だけでなく、世界中の開発者が参加しプロジェクトが進められています。そのため、最新のテクノロジーが実装されたJBoss製品を利用することはできますが、安定性やサポートという観点では高いリスクが存在します。
その半面、JBoss Enterprise Middleware は、安定的でかつ品質の高い製品をリリースすることが目的とされています。レッドハットの技術者が責任をもって日々の品質試験、統合試験を繰り返し製品がリリースされています。そのため、先進的な実装を利用するには少し待たなければなりませんが、その分、安定的な実装がされた製品を利用することができ、レッドハットから満足いただけるサポートサービスの利用やアップデートプログラムの適宜入手などが可能になっています。
企業システムがオープンソース製品を利用することで、システム導入における初期コストの大幅な削減を実現できることは間違いありません。しかしながら、サポートされないオープンソース製品を利用することで、システム導入後のオペレーションコストに負担がでるリスクがあります。1つの障害に遭遇した際に、その障害を回復するために、その分野に精通したスペシャリストがいるのといないのとでは、解決までの時間とコストに大きな差がでることは間違いありません。
レッドハットから提供されるサブスクリプションを利用することで、ライセンスにかかる初期費用だけでなく、この目に見えない将来のオペレーションコストの削減にも十分に期待していただけるメリットを享受できます。ご興味を抱かれた方は、是非、レッドハットの営業まで
お問い合わせください。
http://www.jp.redhat.com/jb/
レッドハット株式会社/ニュースレター編集部