Advanced Platformの起源
執筆者:RHEL5チーム
Red Hat Enterprise Linuxの以前のリリースでは、サーバにはASとESの2つのバリエーションがありました。これらを廃止したことについて、特に不具合があるといった声は寄せられていません。それらのバリエーションは、Red Hat Enterprise Linux 5では存在しませんが、Enterprise Linux製品群の確立に決定的な役割を果たしました。2つのバリエーションの最も興味深い特徴は、それらが技術的にまったく同等だったということではないでしょうか。パッケージセットは同じ、アップデートも同じ、ASまたはESという名称を含んだ、たった1つのファイル以外はすべてが同じです。ISVによるアプリケーションの認定が一度ですみ、それによって両方のバリエーションで認定が得られるため、それらを同じにしておくことは非常に重要でした。ASとESという違いはあるため、それらのサブスクリプションでは、もちろん異なるサービスとハードウェアシステムサポートが提供されました。たとえば、ESではプロセッサソケットが2個以下のシステムしかサポートされませんでしたが、ASでは、あらゆる規模のシステムがサポートされ、IBM POWERなどのアーキテクチャもサポートされました。また、ASでは週7日24時間のプレミアムサポートが利用できましたが、ESでは提供されていませんでした。こうしたシンプルな区分によって、Red Hat Enterprise Linuxが稼働するサーバに適した、異なる価格を提供できました。いつもそうとはかぎりませんが、サーバの規模が大きくなると、実際にビルド、統合、テスト、および保守のためのエンジニアリングやサポートのサイクルがはるかに長くなるため、ASとESの価格差は適切でした。
Red Hat Enterprise Linux 5のアプローチはこれとは一変しました。ASとESの区分はうまく機能し、既存のお客様からは理解されていましたが、新しいパートナー、営業担当者、お客様には、説明しにくいことがよくありました。Red Hat Enterprise Linuxが新しい市場へ非常に急速に浸透しているなかで、この困難を取り除くことが必要でした。これらの新しいお客様は新しいメインストリームであり、「早期導入者」ではないけれどもRed Hat Enterprise Linuxをこれから導入しようとしている、何百万人ものUNIXやWindowsのユーザです。我々は、円滑に機能する区分モデルの必要性を認識しました。Red Hat Enterprise Linuxへの移行を検討しているMicrosoftユーザを、製品区分が不明確であるということで混乱させることは避けなければなりません。
そこで、ASとESを廃止し、Red Hat Enterprise LinuxとRed Hat Enterprise Linux Advanced Platformという区分を導入しました。しかし、この変更は、単なる名称変更よりもはるかに計算されたものです。我々の目標はAdvanced Platformを、理解しやすい1つの包括的な製品として、メインストリーム向けのデフォルトの選択肢にすることです。それも、あらゆる場所においてです。
ASとESは技術的にまったく同等でしたが、Red Hat Enterprise LinuxとRed Hat Enterprise Linux Advanced Platformはそうではない、ということには注意すべきです。両方のバリエーションには、もちろん同じ基盤テクノロジが含まれています。ISVがベースのRed Hat Enterprise Linux製品で認定を得ると、それはAdvanced Platformにも自動的に適用されます。しかし、Advanced Platformには、非常に重要な多数のテクノロジが追加されています。
Advanced Platformには、Red Hatのストレージおよびクラスタリング機能がすべて含まれ、仮想化されたストレージと高可用性構成を導入する機能も含まれます。これらすべてが以前のAS製品と同じ価格で提供されます。Red Hat Enterprise Linuxの以前のバージョンでこれらの製品を導入した場合は2,200ドルかかることを考えると、これは非常に大幅なコスト節約となります。
メインストリーム市場のニーズを満たすという目標に話を戻すと、我々はAdvanced Platformがそれを実現する製品であると確信しています。Advanced Platformでは、Linuxになじみがあろうとなかろうと、お客様は、高可用性機能とともにサーバおよびストレージ仮想化を提供する、包括的なソリューションを導入できます。テクノロジには、マルチシステムの論理ボリューム管理とファイルシステム、クラスタフェイルオーバー、マルチパスI/O、分散型ロックマネージャ、マルチシステム管理ツールなどがあります。Advanced Platformなら、もはやサードパーティ製品を組み合わせて同等のソリューションを手作りする必要はありません。
高度な技術を持つRed Hatのお客様の多くは、オペレーティングシステムインフラストラクチャのさまざまなレイヤで引き続きサードパーティ製品を使用しますが(そして、我々はISVパートナーと緊密に連携してそれを支えていますが)、Advanced Platformでは、1つ導入すればすべてが揃うため、メインストリームのお客様にとって運用が大幅に簡素化されます。
Advanced Platformは、普及したすべてのアーキテクチャ(32ビットと64ビットのx86、Itanium、POWER)をサポートし、あらゆる規模のサーバに適しています。仮想化機能は、ハードウェア性能の限界まで任意の数の仮想マシンをサポートし、すべてのシステムにわたってライブマイグレーションをサポートしています。クラスタリング機能は、数百ものシステムを含んだ構成をサポートします。
ベースのRed Hat Enterprise Linux製品も忘れていません。この製品は、元のバリエーションであるESを直接置き換えたものであり、もちろんサーバ仮想化(オペレーティングシステムゲストは最大4つまで)など、Red Hat Enterprise Linux 5の機能をすべて備えています。またサーバ側では、週7日24時間のプレミアムサブスクリプションを提供し、IBM POWERシステムのサポートを追加することによって条件を平準化しました(以前、これらはASサブスクリプションでしか利用できませんでした)。前記の事情から、プロセッサソケット数は引き続き2個までに制限されています。
旧バージョンからRed Hat Enterprise Linux 5へ移行する既存のお客様にとって、移行は単純明快です。Red Hat Enterprise Linuxサブスクリプションでは、新しいバージョンは、追加料金なしでいつでもダウンロードできます。また、サブスクリプションの更新時期には、ESからベースのRed Hat Enterprise Linux製品へ、またASからAdvanced Platformへ直接変更することができます。価格、および製品番号(可能な場合)は据え置かれます。
以上から、Red Hat Enterprise Linux Advanced Platformの包括性は、すべての市場、お客様、およびアプリケーションにとって魅力的であることがわかります。一方、ベースのRed Hat Enterprise Linux製品は、比較的小規模な導入全般で、依然として小規模システムに最適です。2ソケットのブレードサーバなどに基づいた大規模スケールアウト環境でも、ベースのRed Hat Enterprise Linuxの使用が望ましい場合があるかもしれません。一方、Red Hat Enterprise Linux Advanced Platformの共有ストレージ機能も、そうした構成で非常に有効です。
この記事は、RHEL5チームによって2007年6月21日午前9時26分に投稿され、Red Hat Enterprise Linux 5の下に登録されています。この記事への応答は、RSS 2.0フィードを通じて確認できます。現在、コメントとpingはいずれも送信できません。

