開発者やパートナー、またユーザの方から、新機能や修正をFedora™やRed Hat® Enterprise Linux®、または両方に組み込んでもらうにはどうしたらいいのかとよく聞かれます。我々が推奨するアプローチは、機能、スケジュール、その他の考慮事項に基づいて変わります。
Red Hat Enterprise LinuxとFedoraの違いと関係をよく理解することが肝心です。このシリーズではこれから4回にわたり、次の各章を通じてFedoraとRed Hat Enterprise Linuxの関係の基礎を説明します。
パート1:主な目的
相違点について理解するための最初のステップは、Red Hat Enterprise LinuxとFedoraプロジェクトが多くの目標を共有しながらも、数多くの異なる目的を持ち、また異なるユーザを持つことを認識することです。万能のディストリビューションはありません。基本的には協力をし、優先事項が異なるときは、それに応じた最適化を行います。
パート2:参加者のプロフィール
各ディストリビューションは、特定のタイプの開発者、テスト技術者、およびエンドユーザのニーズを満たすためにカスタマイズされています。このセクションでは両極にある、作成者と消費者の特質について説明します。
パート3:Fedoraの方法論
目標と参加者のプロフィールを理解したうえで、このセクションでは、Fedora Coreディストリビューションの作成に利用される共同作業プロセスについて詳しく説明します。
パート4:Red Hat Enterprise Linuxの方法論
この最後の記事では、Red Hat Enterprise Linuxの開発に利用される方式について説明します。
次の用語は、この記事の理解に不可欠です。:
両方とも、アプリケーション、ライブラリ、カーネル、マニュアル、ソースコードを含み、1,000を超えるパッケージで構成される完全なLinuxディストリビューションです。また、それらには、CD、DVD、ネットワークからインストールできるイメージといったインストールメディアが含まれています。各ディストリビューションは、何百ものコンポーネントで構成されています。
両方とも、初期リリースバージョンは電子的に配信されます(Red Hat Enterprise Linuxでは「General Availability(GA)」、Fedoraでは「Final」と呼ばれます)。また、どちらにも、登録済みのネットワークやサーバに対して新しいバージョンを随時提供したり、バグ修正や機能拡張を配布したりできるインフラがあります。Red Hat Enterprise Linuxの主な電子配布メカニズムは、Red Hat Network(RHN)です。Fedoraの主なメカニズムはYumです。
両方とも、オープンソースコミュニティでの開発を大いに活用し、コミュニティにフィードバックを返します。
どちらも主にRed Hatによって推進されています。オープンソース開発者やベータテスト技術者、お客様、ビジネスパートナーから多くの参加者があります。
Red Hat Enterprise LinuxとFedoraには数多くの共通点がありますが、同時に相違点もあり、その多くは主な目的または対象ユーザに関連しています。
Fedoraは、Linuxおよびオープンソースコミュニティを統合、集約する取り組みです。 統合された全体は個々の累積よりもパワフルになります。Fedoraは何百もの別個のオープンソースプロジェクトからなりますが、多数の人がその統合された作業、ディストリビューション全体に関与しています。アラカルトアプローチをとるユーザはほとんどいません。パッケージを集約してディストリビューションを構成するときは、スクリーニングレビューが行われ、実用的でない、または欠陥のあるパッケージや機能は削除されます。
Fedoraではオープンソースの急速な開発と革新が促され、リリースサイクルは6カ月です。 Fedoraは、統合の中心とソフトウェア配布メカニズム、およびレビューのフィードバックサイクルを提供し、どんな人でもテストしたり貢献することができるのです。新しいパッケージを追加すると新しいユーザが生まれるため、アプリケーションの数が増えるにしたがって、ユーザコミュニティも拡大します。
Fedoraは開発者およびテスト技術者間の交流を促進します。 多くのメーリングリストやInternet Relay Chat(irc)チャネルがFedoraコミュニティで利用されています。このオープンで包括的な環境よって、迅速なテストが促され、新しいテクノロジが非常にすばやく必要なユーザの手に渡ります。
最も活動的なメーリングリストは、fedora-devel-listとfedora-extras-listです。最も活動的なIRCチャネルは、irc.freenode.netの#fedoraや#fedora-develなどです。
Fedoraの目標は、正式のサポートサービスやハードウェアまたはソフトウェアの認定を行うことではありません。
Fedoraの対象ユーザは、開発者、テスト技術者、ライター、および早期導入者などです。
Red Hat Enterprise Linuxは安定しています。 Red Hat Enterprise Linuxは、ビジネスの作業負荷に対応できる企業品質のプラットフォームです。
Red Hat Enterprise Linuxはサポートされています。 サポート、フィックス、マイナーな機能拡張を簡単に入手出来ます。Red Hat Networkのようなソリューションを介して、あるいは電話またはWebサポート、技術アカウントマネージャ、その他の現場専門家から直接サポートを受けることもできます。
Red Hat Enterprise Linuxは互換性があります。Red Hat Enterprise Linuxに加えられる変更は、すべて慎重に審査され、アップデートパッケージがアプリケーションを壊さないことが保証されます。
Red Hat Enterprise Linuxでは、ハードウェアとソリューションが認定されます。 IHVおよびISVと協力して、Red Hatは、Red Hat Enterprise Linuxと最適に連携できるアプリケーションやテクノロジを特定します。その目標は、企業向けの完結したソリューションスタックを構成することです。
Red Hat Enterprise Linuxの対象ユーザは、法人のお客様です。
Red Hat Enterprise LinuxとFedoraの目的やユーザの違いを理解したら次に、その意味について考えてみましょう。
迅速な技術革新 vs. 安定性。 Fedoraは急速に進歩します。その対象ユーザは、常に最新かつ最大の機能を望んでいます。Fedoraのストリームはより革命的です。旧いバージョンのパッケージはたちまち放棄され、新しいバージョンに入れ替わります。Fedoraは実験的な試みに対して非常に寛容です。
Red Hat Enterprise Linuxでは、より慎重なアプローチが取られます。アップデートは通常、お客様の問題に対する個別の修正となります。Red Hat Enterprise Linuxに変更を加えるときは、既存のお客様の環境にリグレッションを持ち込む可能性がないかどうかを必ず検討します。新しい機能という観点では、Red Hat Enterprise Linuxは、革命的というよりも進化という対応をとる傾向があります。
コミュニティの統合と迅速な技術革新 vs. 互換性。 edoraの主な目的は、新しいテクノロジを関心のあるユーザに提供することです。互換性があるかは二の次になる場合もあります。Fedoraのアプリケーションは再コンパイルが必要なことが多く、インタフェースの変化に合わせてソースコードに手を加えることが必要になる場合もあります。
Red Hat Enterprise Linuxのアップデートでは、互換性を維持するためにあらゆる努力を払います。ときには、それによって難しい判断を迫られる場合もあります。互換性を維持するために、望ましい新機能を組み込むことを断念しなければならないこともあります。
コミュニケーション vs. サポート。 Fedoraでの交流と関与のメカニズムは、きわめて非公式なものです。話題がほかの人との共通の利益に関するものであれば、メーリングリストで応答を得やすくなります。テストの実施、フィードバックの提供、ソースコード、パッケージ、および機能拡張への貢献は、すべてFedoraへの直接的な個人対個人の関与の機会となります。
Red Hat Enterprise Linuxに関するRed Hatとのやり取りは、はるかに構造化された正式のプロセスです。やり取りは一般に、サポートのエスカレーションやその他の顧客およびビジネス関係を通じて行われます。したがって、Red Hat Enterprise Linuxの開発モデルは、より間接的なものです。Red Hat Enterprise Linuxに関するやり取りは、通常、企業間の取引となります。
FedoraとRed Hat Enterprise Linuxの両方について用語と主な目的の確認ができました。 Red Hat Magazineの次の号では、各ディストリビューションの参加者について詳しく検討し、参加者が各ディストリビューションをいかに形成し、作り上げるかを説明します。